フィットの「オーディオレス仕様」車であるが、実際には左右フロントドアにスピーカが付いているので、CDプレイヤーやAVナビを取り付ければちゃんと音は出るのである。
そして、普及型ランクのAVナビ「AVN550HD」に接続された、このスピーカの出す音はごくフツーである。というより、音のこもりも感じられず、低音もブンブン出て来るし、これで納得というユーザーは少なくないと思われる。ま、このくらいのサイズ(16cm)のスピーカであれば、メーカーがあえて悪い音にしようとしなければ、そこそこの音で鳴って当たり前である。自分の体験した範囲では、音が悪いためにクルマで音楽を楽しめない原因の90%以上はヘッドユニット(ラジオやCDプレイヤー)にある。
フィットのおまけ(標準装備とも云う)である、このスピーカも特にひどい品質ではなかった。
しかし、少しでもオーディオにこだわりのある者の耳には、超高音も超低音も全く出ない、このスピーカはやはり”カーステ”レベルの音質であり、我慢ならない。
というわけで、今回のフィットいじりは「スピーカのグレードアップ作戦」となった。
家庭用オーディオと同様、クルマでも”サウンド”にこだわり出すとすぐに数十万円から百万円超のコストがかかる事態となるのだが、自分としては「マニア」になる気はさらさらないので、ある程度音質が向上すれば打ち止めである。その”ある程度”の基準とは、スピーカ 1個あたり 1万円である。音質の聴き分けについて大した能力があるわけではないので、このレベルの製品で十分である事は長年の経験値として分かっている。
今回の工事は、パイオニアの「TS-J1710A」(2個入りで実買約15,000円)をフロントドアに取付け、余った既設のスピーカをリアドアに移設して4 スピーカシステムとする事にした。
スピーカを交換するには、ドアの内張りを取り払う必要があるが、ナビ工事に比べればカンタンである。
取り外し方の情報と適切な工具とがあれば、ものの 3分程度で外せてしまう。「情報」とはいっても、ディーラーの営業マンに頼んでサービスマニュアルの該当部分をコピーしてもらえば済む話である。
フロントドアでは、アームレスト前方に内装はがし工具を差し込んで軽くこじあければカンタンにカバー部分が取り外せる。カバー内部のパワーウィンドウ用配線コネクタを外し、そのそばにあるビスを 1本取り外す。後はドアハンドル部分のビスを取り外してから、内装はがし工具を使って内張りを下端からバキバキと引っぱがす。詳細な手順については、「いじれ!!フィット」サイトを参照の事。
コツとしては、内張りパネル全体を少し浮かせ気味にしなければドアハンドルを抜けない事くらいである。
※ちょっと注意
内張を取り払った後で、中央の写真 ↓ のように、赤色のフックがドア側に残ってしまう場合があるので、専用工具やラジオペンチ等で引っこ抜いて内張に取り付けておくのを忘れない事。
右上写真のように、標準装備スピーカはボルト1本で固定されているだけなので外すのはカンタン。しかし、これを取り外した後で問題発生!!
固定ボルトの位置が異なるため、「TS-J1710A」はそのままでは取付不能である事が判明したのだ。(´д`)
パイオニアのHPの車種別適合表には、いかにも別部品なしで取り付け出来るような、あいまいな表現しかされていなかったため、ダメ元で取りかかったのだが・・・
そのままではダメと分かり、工事前に保険のために在庫を確認してあった、最寄りのスーパーオートバックス布施高井田店に突っ走り、フィット用「インナーバッフルボード(約1,500円)」をゲットして取って返し、インナーバッフルを取り付けたのが右の写真。
「TS-J1710A」には、HONDA車用のスピーカ接続コネクタの他に、ご丁寧にもデバイディングネットワークが付いてくる。説明書に従い、プチプチと接続して、防振用スポンジを貼り付けてバッフルに固定して完了。
右上の写真が、フィット純正スピーカとカロッツェリア(パイオニア)製である。さて、どっちが高級品か、分かるかな ? (・∀・)
取付と配線が終われば、音出しテストで確認した後に内装パネルを元に戻しておしまい。
さて、肝心の音質向上効果はというと、”カーステレオ”状態から”カーオーディオ”と呼べるレベルにはなった。しかし「劇的な変化」というわけではない。もともと、“AVN550HD”のサウンド調整機能によってそこそこの音が出ていたためである。
すなわち、スピーカ交換前後のヘッドユニットが、同じ”AVN550HD”だからである。これが、「標準装備のCDプレーヤ + 標準装備スピーカ」から「 新ヘッドユニット + 新スピーカ 」に変わったのなら正に”劇的に良くなった”であろうと想像するしかない。
とはいえ、音の解像度や高域・低域の伸びは格段に向上した事がはっきり分かる程度のレベル向上となったのは間違いない。とりあえずフィットを「走るリスニングルーム」にするという目的は達成したわけである。