新天地へ

10年間近く勤務した三和無線を退職する事にした。
前回書いたような問題もあったが、それが転職を決意する決定的な要因というほどではなかった。
ここで書き連ねるつもりはないが、居づらくなる要因もいくつか発生していたし、専門技術者として生きて行く事への疑問符にも悩まされていた。それは自分が望んでいる人生ではないという焦り。既に時間の問題だったのだ。

“dBASEⅡ”は、直球ど真ん中の感じで自分の求めていたものをほぼ満たしてくれた。参考書を買いあさり、無線機器管理システムのみならず、事務処理で考えられる限りの管理システムを片っ端から試す日々が続いていた。

人生の転機は「スカウト」だった。”dBASEⅡ”に凝りはじめた頃から知人を通じて、ある会社への転職を誘われていたのである。会社の業務改善に並々ならぬ熱意と才能を持っているという事で、管理職として迎えたいと。
それは、生まれてからそれほど経っていない若い会社であったが、「バブル期の始まり」という時流に乗って日の出の勢いで急成長しつつあるという荒々しさと希望に満ちあふれてていた。
ま、今から思えばそれほどでもなかったのだが当時はそう感じていた・・・( ´ー`)
三和無線は社長の人柄もあり、家族的な良い雰囲気の堅実経営の会社であったが、裏を返せば何時まで経っても成長が期待出来ずこじんまりとまとまったままである事へのストレスが溜まりつつあった
「居心地は良くてもここは本当に自分が望んでいる環境ではない」という結論に達した。

半年間の逡巡を経て、転職を決意した。それほど時間を費やしたのは会社への愛着と社長への恩義も感じていたためであるが、今よりも自分の資質と能力を発揮出来る環境が得られそうだと確信した後は迷いはなかった。

度重なる勧誘に「Yes」と答え、人生最後の転職となった。

しかし、新天地に飛び込んだものの、別の意味での苦難の日々が待ち受けていた。
人生はそう甘くないのであった・・・

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