由緒正しき高級オーディオショップの「河口無線」は奇跡的に残っていた。
ちなみに今回の「でんでんタウン」散策で店内に入ったのは、ここと「テクノランド」だけ。といっても、後者の方は単に家族との待ち合わせ時間の待機で、暑さしのぎに利用させてもらっただけなので、ショップとして純粋に関心を持てる場所はここだけであった。
近隣の店舗と一線を画す上品な佇まいが、かつての栄華を思い起こさせる。
分厚いガラス扉を開けて店内に入ると、外の喧騒がウソのように静寂な空間となる。
壁一面にアンプやプレイヤーが並べられた、昔ながらのオーディオショップ。かつては店内に入る度にわくわくしたものだが、オーディオ趣味を卒業した今となっては、心ときめく要素は何もない。単にノスタルジックのみ。
ヘッドホン売り場の奥は専用駐車場になっていて5台程度のスペースがある。さすがに高級店。通りに面したショップとしては異例に贅沢な造りなのである。停まってるクルマも「さすが」です。
しんとした店内のど真ん中に造られた、しゃれた階段で二階に上がれるようになっている。ちなみに、この日の来店客は、パーツを買いに来ていたこの方のみ。( ´ー`)
二階に上がってみると、案の定人っ子ひとりいない静寂の空間・・・
ここはスピーカが沢山設置してあって、比較試聴が出来るようになっている。階段のすぐ右手には、たぶんこの店でしかお目にかかれない”SACD(Super Audio CD)“が陳列されている。”DVD-Audio“もあったような気もするが、いずれもまったく関心がないので、記憶が定かではない。
奥の方にひっそりと展示されていた”新製品”アナログレコードプレイヤー。”糸ドライブ”ですな。このお店としては中級品といえる、約40万円という価格。う~ん、まったく食指が動かない。( ´ー`)
この他、3Fと4Fも主としてホームシアター関連の視聴室兼売り場になっているが、狭い階段を上らねばならないため足が向かなかった。ムカシは積極的に上がって行ってたたのだが、おそらくそこも他にお客はいそうにないし、購買意欲ゼロの身で店員と顔を合わせるのは気が引けるしでね。( ´ー`)
一階に戻って店を出ようとしたら、出入口脇に懐かしい顔を発見。いわゆる”往年の名機”の復刻版、LUXMANの”L-305″が展示されていた。このパネルフェイスを見ると、なんだかホッとするのだが、購入する事はあり得ないので、一瞥しただけでそそくさと店を後にした。結局この日みかけたお客は1名のみ。盆休みの最中とはいえ、オーディオ趣味の衰退を肌で感じるが、「老舗の意地として今後も頑張ってもらいたいものである」などと、ありきたりで無責任な事を書くつもりはない。(もう書いてるが)
ずっと以前からこんな状態なので、当然ながら経営危機が何度もあったようだ。単独で生き残れるはずもないのだが、そこは名門ショップ。見捨てられはしない。上新電機に吸収された後は、個人オーナー(※)になっているらしい。
※とは言っても、道楽ではなく、ちょっと変わったオーディオ機器メーカーの社長らしい
かつてのメッカであった日本橋のオーディオショップは”ほぼ”壊滅状態にあるのだが、大通りを一歩入ると、”アサヒステレオセンター”や”逸品館”は健在らしく、すなわち一定のニーズはあるというわけで、”絶滅”というほどではないようである。
さらに、”ヨドバシ梅田”にはかなりの面積を割いてオーディオ機器売り場が常に存在していて、そこそこ来店客もあるという事実もいちおう書いておこう。というわけで、さようなら、河口無線さん。( ´ー`)
コメント
コメント一覧 (2件)
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オーディオのことを熟知して、ユーザを大切に思う店は、未だに残っていると感じます。
今もありますよ、さようならとは?
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コメントありがとうございます。
「さようなら~」とは、自分自身が今後この店の売上に貢献する事はおそらくもうないだろうというだけの意味です。
素晴らしいショップであるという評価は変わりません。
Webサイトを見ると、今も堅実に営業されているようで安心しました。
言葉足らずで済みません。