野辺山での勤務を終えて大阪に戻り、ほどなくして転職した。
さまざまな事情があったのだが、その間の個人的な事柄についてブログに書くつもりはない。
ただ、尊敬していたA氏の忠告もあり、プログラマーを目指して退職したのではない事も間違いない。
すでに20代後半となっていたし、そもそも自分の経歴では名のある企業に入れるはずもなく、今でいう”プータロー”生活が半年ほど続いた後、ちょっとした偶然から「S無線」という小さな会社に採用される事になった。
当時、自分が持っていた基準は”たとえ隔週でも良いので週休二日制の会社”であった。
これは絶対に妥協するつもりがなかった。そのため、候補選びが難航していたのである。
社会人となってから、週一度の日曜日さえ保証されない日々を送って来ていたので、当時急速に普及していた週休二日制は何よりも大きな魅力なのであった。
「現時点で週休二日制が実現出来ていない会社は将来に渡っても変わらないだろう」という認識は正しかったと思う。
さて、ある日の昼下がり。首尾良く入社出来た小さな(しつこいか・・・)会社である”S無線”の社内でふとみかけた一枚のカタログに眼が釘付けになった。
「コンピューターや・・・」
当時の(たぶん今でも)社長であったMさんに「これ、ウチの仕事と関係あるんですか ?」と聞いてみたら「いや、別に関係ない。取引先の店に頼まれて置いてあるだけや。」とニベもない返答であった。
「これ、もらって帰っていいですか」「ああ、いいよ。」
その日から夜な夜な穴のあくほど、ただのA4サイズ1枚に過ぎないカタログとにらめっこする日が続いた。
コンピューターへの漠然とした憧れが、ゆっくりと確実に再び押し寄せてきたのである。
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